

新潟県・苗場プリンスホテルにて、2025年2月6日(木)から20日(木)まで全8公演。
こちらでは、SURF&SNOW in Naeba Vol.45、ユーミン苗場2025の管理人が鑑賞した2月20日最終日のレポをお届けします。
午前中からお昼頃のようす
お昼頃になると、時々晴れ間も見えるゲレンデであった。


午前中の苗場スキー場ゲレンデ


お昼ごろの苗場スキー場ゲレンデ
開場前のようす
ユーミンBARに並ぶため18時40分頃ブリザーディウムロビーに行ったところ、いつもの最終日独特の雰囲気が感じられずにいた。並びの列には6名ほどが並んでいたが、途中で抜けたりで結果私は4人目となった。開場まで2時間ほどあったが、友人たちと一緒なのは心強かった。


YUMING BARの案内版


ブリザーディウム入口付近
開場後のユーミンバー
20時30分、舞台奥から佐々木詩織さん、今井マサキさん、そして最終日スペシャルな日替わり店長である武部聡志さん、松任谷正隆さんがバーカウンターにスタンバイされた。私はバーボンソーダ割りだったが、緊張のあまり皆様と握手だけしていただいた。ビッグな演者を目の当たりにすると、喋れなくなるのが実感した。
そして本日の席、メモ書き不可能な目の前がステージと言う神席だった。ドリンクを受け取った知り合いから、すぐに声がかかりお褒めの言葉をいただいたが友人とともに恐縮だった。


YUMING BARの並びの列


ブリザーディウム入口付近の関係者受付


ブリザーディウム入口


ドリンクオーダーの札
開演直前
生配信のある最終日、ユーミンの声で50名のメンバー紹介が始まると、客席からも熱い拍手が響いた。今年最後の苗場を焼き付けようと言う気持ちは、現地のファンも配信を見ているファンも同じ温度だろう。自席では、ユーミンのメンバー紹介される声がよく聴こえたのだが、席によっては聴き取りにくいところがあるのだろうかとふと気になった。


再入場の控え
本編


2月20日の紙チケット
-
2月20日最終日 本編前半の気づき
-
3曲目『グレイス・スリックの肖像』までノンストップでグランドピアノを演奏しながら歌唱するユーミン、"ロックなお葬式"という裏テーマが反映された、音楽の葬送を想起させるステージングが実にカッコいい。
グランドピアノはステージ上手側に向け斜めに設置されており、自席からは鍵盤をたたく指の動き、顔の表情など細かなところまで見え、力強い音色が体に響いてきた。
3曲目『グレイス・スリックの肖像』終了後のMCで今回のテーマに触れた際、「ピアノガール…ガールで良いのかな…?(笑)」とおどけるユーミン…今回のステージでは荒井由実として世に出る前の、まだ何者でもなかった少女のユーミンの姿もそこに映っているかのような"原点回帰"を感じた。
6曲目『翳りゆく部屋』
深海の街ツアーのオープニングシーンが記憶に新しい印象だが、やはりピアノがよく似合う1曲だ。終盤の「輝きは戻らない♪」の箇所で一言一言に力を込めて歌う姿はまさに"熱唱"。見ているこちらも引き込まれてしまった。
7曲目『Miss Lonely』で立ち上がるユーミン、衣装がようやくはっきり見えた。
概要はメディアでも報道の写真の通りだが、ジャケットのラペルのスタッズのアクセントや、ブーツのアンクルのダブルベルトなどディテールにも凝ったデザインであった。胸元にあったYMロゴのバッヂはTHE JOURNEYツアーのグッズにあったものであろうか?また初日にも気が付いた「白い髪を編んでみせる♪」では、実際に髪は触らずパントマイムで表現してみせた。
本編前半の最後は、8曲目『時のないホテル』
イントロが始まるや否や我々は立ち、同じブロックで周囲の方々は立っていたようだが、真ん中のブロックは座ったまま。私が開演前に感じたことは、これだったのかとある意味納得した。
演奏とともに赤い照明が、不穏な雰囲気を演出する。グランドピアノの正面にて背中合わせでポーズをとるユーミンと佐々木詩織。ピアノを交互に弾くユーミンと佐々木詩織だが、「東側のタバコの吸がら 電話のわきのメモはイスラエルの文字♪」「こっそり開くパフに仕込んだアンテナ 口紅から発信器の音♪」を歌唱する佐々木詩織のパートは、今回のショーのためにアレンジされた、1オクターブ高いものであった。特に「電話の…」「アンテナ…」で音階が下るというのは新鮮。松任谷正隆は、この演出をどこから引き出してきたのだろうか気になった。(※2番の歌詞でも佐々木詩織のパートで1オクターブ上がる箇所あり。)
「世界のあちこち♪」ではステージ左右を行き来するユーミン、ポーズを取りながら客席を見渡していた。最後は佐々木詩織とのピアノ連弾を披露して歌い終えた。前半のクライマックスと言える。
-
-
リクエストコーナー
-
「苗場名物リクエストコーナー!今回で苗場初めての方って、いらっしゃいますか?」と、はじまる苗場の名物コーナー。
一人目は上手側から。当ててほしいと声を出してアピールするが、声出してよっぽとでないと当てないよ!と言われる始末。違う方でマスクをした方のリクエストは『夕闇をひとり』。その方を見て印象が違いそうで面白ろそうだとユーミン。登壇されたのは、埼玉からの男性、13回目の苗場でひとりで来たとのこと。
リクエスト理由は、歌詞にある「あのひとが残していった全てを♪」はおじさんの心境かと思って、自分では上書きできないと話題になった。苗場にはユーミン好きな人と一緒に来ていたが、何年か前からは一人になってしまったと話すリクエスター。突っ込みどころ満載だが男性ははぐらかしてしまい、逆にかわいそうになってきてしまったと言われるユーミンだった。 歌詞カードを受け取ることなく歌い始めるユーミン、2番目を歌うよとリクエスターに合図されたとき、男性は泣いておられた。
歌い終えたユーミンは「(男性の名前)さん、本当に泣いちゃった。」と、感想を聞かれた男性は「1番叶わないと思ったことが、実現できました。」と云われ大きな拍手を貰っていた。そしてユーミン「(叶ってほしいこと)2番目は?」との回答が「結婚したいと思いました。」で、場内は大爆笑であった。理由はわからないが、総支配人名刺を席両隣の方を含めて3枚貰うリクエスターだった。
二人目は真ん中のブロックからで、苗場は7回目の4人で来ている女性が指名された。
リクエスト曲は『生まれた街で』。理由は、兄がファンであったがリクエスターが中学1年のとき天地真理さんのファンであったと。ユーミンは「あなたを待つの♪」と歌うのであったがオーディエンスは大爆笑であった。登壇された女性曰く、『MISSLIM』というアルバムは名曲ばかり入っていて、その中でもユーミンと言えばその楽曲(リクエスト曲)だと。天地真理さんのファンを辞めて、ユーミンのファンになったきっかけの楽曲だとのこと。ユーミンは、キャラメルママの演奏が素晴らしいと云われた。歌う前に歌詞カードを貰わずに歌うユーミン、間奏では「ずっと演奏が続くのでここで終り~~~サビを歌うよ。」と歌い始めたユーミンだった。歌い終えたユーミンは「その頃の風の匂いがして、気持ちよく歌いました。ありがとう」とリクエスターに話されたのだった。
三人目は下手側から。後方で手を上げる方を指名してのリクエストは、『A HAPPY NEW YEAR』。
登壇されてきていきなり座る男性は、和歌山から来られ苗場は2回目だと言う。だが聞かれていないうちに、エピソードを話始めるのだった。ユーミンと話をするうちに、タメ口になっていく男性だったが、正直見ていて気持ちの良いものではなかった。 前回は一人で来たが、今回はそのときに会場で隣になった方に双眼鏡を貸したことがきっかけとなり付き合うことになった女性と二人できた。その女性を登壇させるユーミンだった。自分のペースで話し出す男性に、「初めてのケースだ、我が物顔だ!」とユーミン。それは1983年11月13日(男性の記憶)姫路駅の新幹線ホームへユーミンを迎えに行ったと。 そしてパートナーの女性は、付き合うきっかけを聞かれた。女性の話では、LINE攻撃を受けてダンス発表会に誘ったら登壇された男性が来たとのこと。そんな話から男性曰く、ユーミンはキューピットだよと。もうひとつカミングアウトしてよいかと話された内容は、新しく生まれてきたこと(たぶんお孫さんのこと)に対するリスペクトで、その楽曲になったとのこと。出だしを歌詞カードを見ながら歌う男性だった。
-
-
2月20日最終日 本編後半の気づき
-
10曲目『心ほどいて』はVol.36まで長年ユーミンのサポートメンバーとして参加していたギター中川雅也の象徴的な1曲である。今回もそのことを思い起こさずにはいられなかった。歌い終わった途端に手を軽く組み、故人への祈りを捧げているように見えた。
12曲目『SHANGRILAをめざせ』のイントロと共にユーミンの衣装チェンジ。今回は本編中にステージ裏に行くことがなく、ステージ上の椅子に置いてあるハットとヘッドピースを付け替え、ジャケットを脱いで椅子に置く。黒のグッズTシャツ姿であったが、衣装の一部としてスタイリングアレンジがなされているようだ。客席もアップテンポなイントロにほぼ総立ち状態に。
14曲目『中央フリーウェイ』のサビ「夜空に続く♪」で左手をまっすぐ下から上へなぞるように上げる振り付けあり。
16曲目『Early Springtime』終了後のMC
ユーミンが苗場に関わってくれた全ての方々に感謝の気持ちと、これからの苗場への決意を述べられている。その内容はほぼ初日と同じだったが・・・
「~~今日は今年は、わざわざ苗場まで来てくれて本当にありがとう!」今年はというフレーズ、最終日だから・・・オーディエンスからは、ユーミンありがとう!という声が多くかかっていた。
MCが終り、17曲目『私のフランソワーズ』を弾く直前になって譜面をめくり、大きく深呼吸されピアノ伴奏に入られた。一瞬間が空いた場内に漂う緊張感が、逆にこのシーンでは画になっていた。
18曲目『14番目の月』
イントロはスタンディングスタイルでピアノを弾くユーミン。もちろんいつものジャンプと振り付けもあり。サビの繰り返しがいつもより1回多く、客席も最高の盛り上がりだった。 演奏が終りユーミンとサポートメンバーが下手へはけていくとき、隣の友人が「小田原さん!」と声掛けしたときに、手を振ってくださった。小田原豊さんの人柄が出たシーンとなった。
-
アンコール
「~~スタッフのおかげ!この異常気象の中、本当に奇跡のようにもう完走できそうです。ほんとにみんなのおかげ、この気持ちをずっと忘れずに、これからも走っていくので応援よろしくね。」
MC終了後に始まった1曲目『Hello, my friend』
ユーミンはオーディエンス一人ひとりを見るような感じで、ステージを左右に移動しながら歌唱されていた。
アンコール2曲目『BLIZZARD』、
71歳になってもいくつになられてもこの楽曲を歌唱され、振り付けをされて一番似合うのはユーミンしかいない。心なしかユーミンはいつも以上にしっかりと振り付けをされていたように見えた。本日の神席で間近にみた所感だ。楽曲終了後、サポートメンバーと手を繋ぐ前に、武部聡志とハグされたのを見て自身号泣だった。


2月19日夜の苗場プリンスホテル本館前
ダブルアンコール


2月19日夜の苗場プリンスホテル本館前
「長い長い時間の間に、もう会えない人も色々。皆さんの中にも、もう会えないでも会いたい人がそれぞれにいらっしゃると思います。今回はそうやって心の底からいろんなことを思い出して、そこにも届くといいなって一生懸命にやりました。弾き語りを結構たくさんやったので、私自身ももう会えないと思っていた昔の自分にステージ上で会えたような気がしてます。まだ何者でもなかった自分。ひこうき雲とかそういう曲が、まだ誰も知らない、私の頭の中にしかなかった頃、もう空き家になっている実家のアップライトピアノで、ずっと夢中で曲を作っていたあの中二病の私。ステージ上で会えました。そんな姿をみんなに見てもらえて、すっごく楽しかった。なんとそれよりも何よりも、こんな条件の中で駆けつけてくれて、本当に嬉しいです。だから続けていけます。本当だったら50回やりたい、必ず来てね。これは動員の問題じゃなく、みなさん一人一人本当に丁寧に暮らして、その持ち場持ち場立場立場で精一杯生きててもらいたいと思う。そしたら必ずまた会えます。もう何を言ったらいいのか言葉にできないんだけれど、とにかくみんなの幸せを祈っています!ありがとうございました。」 始まったのは武部聡志のキーボードと遠山哲朗のギターの二人だけの伴奏、曲は『GREY』だ。「灰を落とす♪」では人差し指で灰を落とす仕草。
※MCは現地参加のご愛読者さま&生配信鑑賞のご愛読者さまのご協力の元作成しています
トリプルコール
ユーミンは「ほんと言葉になりません。ありがとう!」と、直後にキーボード武部聡志が奏でる音は『経る時』だった。苗場で歌唱する時の定番ではあるが「寂れたこのホテル♪」の歌詞は「いつものこのホテル♪」に変更されていた。楽曲が終わり下手へさがっていかれる間、ユーミンありがとうというオーディエンスの声がやまなかった。


ブリザーディウムロビー
クアドラプル
まずはユーミンのMCがはじまった。「みんなの顔、焼き付けておきたいよ。じゃあ、もう一曲。一緒に歌ってね。この曲を作った時は、もうこの人のことを知ってました。呼びます。(続く)」
ここで、私の前でスタッフ5名が移動階段を出してきた。横の通路後方に目をやると、松任谷正隆がスタッフ先導でゆっくりと進んできた。


お祝いスタンド花
一歩一歩階段を登り、照れ臭さそうに一礼しピアノにスタンバイ。
始まったイントロはアレンジされた『卒業写真』。アレンジは、たぶんいやもちろん松任谷正隆。
イントロ中、ピアノを弾く松任谷正隆に歩み寄り、何か打ち合わせしたような様子。そしてユーミンが言われた通り、歌い出しからオーディエンスは一緒に歌う。「あなたは青春そのもの♪」で、松任谷正隆に近づいて歌うユーミン、そして苦笑いの松任谷正隆を見てしまった。
歌い終えられたあと、「みんなは私の青春そのものです!松任谷さんもね。」とユーミンが云われ、松任谷正隆がユーミンに近寄って抱き寄せるようにして、肩を組んで二人で一礼。そして「また来年!」と言われ、下手へはけた。45回目の苗場が終わった瞬間だった。